マイケル・チェーホフ


マイケル・チェーホフ(1891~1955)は、作家アントン・チェーホフの甥であり、20世紀を代表する偉大な俳優の一人です。近代演技術の父とされるK・スタニスラフスキーの一番弟子であり、スタニスラフスキーはチェーホフを「最も素晴らしい俳優」と称賛しています。彼はモスクワ芸術座の中心的な役者として活躍し、第二モスクワ芸術座では演出家としても成功を収めました。

 

しかし、ロシア革命の影響で亡命を余儀なくされ、その後ヨーロッパ各地を転々とします。一時的にイギリスでスタジオを設立しましたが、後年はアメリカに移住し、ハリウッドでスタジオを開設して多くのプロ俳優を育成しました。彼の直接指導を受けた俳優には、マリリン・モンロー、ユル・ブリンナー、クリント・イーストウッド、マラ・パワーズ、ゲイリー・クーパーがいます。また、彼のテクニックを学んだ俳優にはジャック・ニコルソンやアンソニー・ホプキンズなどが名を連ねています。


マイケル・チェーホフテクニック


インスピレーションを操作することはできない、それはとても気まぐれなものだからだ。

ゆえに俳優は頼みの綱となる、信頼できるテクニックを常に持たなくてはならない

―マイケルチェーホフ

 

Inspiration cannot be commanded, it is capricious,

that is why the actor must always need have a  strong technique to fall back on.

ーMichael Chekhov 

 

 マイケル・チェーホフは、俳優の創作現場を注意深く観察し、「心」と「体」のつながりについて研究を続けました。彼のテクニックは「サイコフィジカル(心と体の連動)」という考え方を基礎としており、体の動きを通じて役柄に必要な感情を引き出したり、演技に必要な要素を発見したりする方法を教えています。

 

その代表的なテクニックが「サイコロジカル・ジェスチャー(心理的動作)」です。これは、全身を使った動作を通じて役の目的や行動を見つけ、それを体で表現することで演技に生かす方法です。

 

また、役作りの際に、自分自身の過去やトラウマに頼るのではなく、想像力を使って役の存在そのものを見つけ出し、役に変身していくことを重視します。そのため、チェーホフのメソッドでは「イマジナリィ・センター(想像的な核)」や「イマジナリィ・ボディ(想像的な身体)」といった技法を使い、想像力を活用した役作りを学ぶことができます。

 

マイケル・チェーホフのテクニックは、彼の直接の教え子であるジョアンナ・マーリンマラ・パワーズグレゴリー・ペックなどによって広まりました。現在、アメリカでは「マイケル・チェーホフ協会(MICHA)」がテクニックの中心的な拠点となっており、ヨーロッパでは「マイケル・チェーホフ・ヨーロッパ(MCE)」を中心に広がっています。このテクニックは、世界中の学校やスタジオで学ばれており、多くのプロ俳優にも活用されています。近年では、韓国、台湾、シンガポール、中国といったアジアの国々でも導入が進んでいます。

 

 日本では、チェーホフの代表的な著書『TO THE ACTOR』が日本語に翻訳されていますが、内容が誤解されることも少なくありません。また、体系的にマイケル・チェーホフのメソッドを学べる場所は、まだ多くないのが現状です。

 

 

Michael Chekhov  Tokyo

マイケルチェーホフ東京 

 

【代表 】

秋江智文

 

【問い合わせ】

michael_chekhov_tokyo@yahoo.co.jp